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ヴァーチャルリアリティ映画制作に必要なものを考えるpart2

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VR企業Felix & Paulが明かすバーチャル・リアリティーと 、ユーザー優先の動画制作について

What It Takes To Make Virtual Reality Films, Part 2

本文はデジタルエージェンシー Hugeのコンテンツ戦略部門に勤めているEmily Atwater と、同じくSound Cloudでコンテンツ戦略を担当しているGina Pensieroとで共同執筆された。

現在のところ、仮想現実(VR)は映画製作においては大きな動きは見られない。
VR動画制作企業であるFelix & Paulに、この360度全方位型メディアを使った
動画制作について語ってもらった。

以下のインタビューはpart1の続きになる。

Emily Atwater(EA): ではまず制作の流れについて伺います。チームは何人体制でしょうか?

Felix & Paul(F&P): ちょうどボルネオから戻ってきた時ですが、そこでドキュメンタリーをテーマにしたものを作っていた時は8人体制でした。機器やデータを取り扱う上でこれ以上少なくなると難しいものでした。しかし、フィクションをテーマとしたプロジェクトになればこれよりも人数を少なくすることはできます。我々のスタジオにはソフト、ハード、画像編集などの作業についているスタッフが20人ほどいます。プロジェクトに遅延を発生させないよう、十分な人数を確保するようにしています。

EA: 期間に関して言うと、例えば8分の作品を仕上げるのにどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?

F&P: ものによって大きく変わりますが、同じシーンを色々なアングルから撮ったりはしないので、撮影自体の時間はそこまでかかりません。プロジェクトにおいては、その空間や瞬間の感覚に没入していくことが重要なので撮影後の作業を長めにとるようにしています。8分の作品の場合、一月半というところでしょうか。

EA: カメラとテクノロジーについてもう少し教えてもらえますか? あなた方が使ってる道具の多くはこれまでのものではなく、自分たちでつくりあげたものの様に思えますがいかがでしょう。

F&P: あたかも人が触れられるかの様なものにする必要がある事は分かっていたので、そのニーズに合わせてカメラ技術を設計しました。そもそも我々は人を非常に近い距離で撮影し、VRを通して人と人とがつながる事にとても興味を覚えたのです。そこで現実世界で人が、空間や大きさをどう認知してるのかを再現できるカメラを開発しました。

より現実のものに近づけるよう、カメラ技術については何度も改良を加えました。カメラの寸法は人が椅子に座ったのと同じくらいのものなので、多くの撮影を座って行えるという利点もあります。

これらすべてを実現するためのハードもソフトもない状態でしたので、多くの技術を自分たちで開発しなければいけませんでした。まず試作を行うためにエンジニアとデザイナーを集める事から始めました。ちょうど今、4代目となるカメラに取り掛かってるところです。昔は既製品を組み合わせてましたが、今ではゼロからハード作りを行ってます。センサーの設計については行ってませんが、カメラのコンポーネントは自分たちで組み上げてます。プロジェクトでの撮影の度に何がうまくいって、何がうまくいかないのかを学び、ライブアクションのVRでどんな事が可能になるのかといったアイデアを得ます。

EA: 商用に出回っているVRカメラはあるのでしょうか?

F&P: 無いですね。GoProと間に合わせ程度の3Dカメラを使ったコンテンツクリエイター向きのプラットフォームを発表したGoogleが、ひょっとするとこの手のツールの最初の提供者になるかもしれません。これは素晴らしいことです。あと問題といえばクオリティーの指標が今のところ無いことが挙げられます。つまり間に合わせのカメラシステムを使ってある程度のVR動画を作る事はできるかも知れませんが、今後は製作やカメラの使い方についてのクオリティーの指標が必要となってくるでしょう。

EA: プロダクションの今後などについてはどうお考えでしょう?

F&P: シリーズものを手掛けてることをお話しましたが、いま取り掛かっているのは「Nomads」
というシリーズです。第一話はHerdersというタイトルで、モンゴルで撮影しました。その後我々はケニアやボルネオなどに飛び、その地の原住民や遊牧文化などに出会いました。プロジェクトに重きを置く点は、ナレーションや説明抜きで我々とは大きく異なるこれらの文化やライフスタイルを経験できるようすることです。

こういったプロジェクトに取り掛かる前に、まずどの様なものが説明抜きで心に訴えかけられるかという事を見定めます。人類学者たちの話を聞き、リサーチを行い、どの様なエクスペリエンスがユーザーに訴えかけ、彼らの生活をどのように伝え得るのかを決定します。彼らと一緒にただ一週間を過ごし、自分たちのプランを進めても問題ない事を確認し、視聴者と被写体との間に感情的な繋がりが生まれるようになりました。

EA:他のVR動画制作者たちとの関係はどのようなものでしょうか?

F&P: この分野に取り組んでいる人はまだ多くいません。Chris Mild & Vrseはライブアクションをメインに興味深いコンテンツを作っています。Oculus Story StudioはOculusから派生したコンテンツ制作部門で、旧Pixerのスタッフたちと作り上げられるCGによるコンテンツはVRに
新しい視点をもたらすことでしょう。また、この分野に大御所みたいな存在はおらず、みんなが様々な観点やプロセスを模索している段階なので将来のロードマップというものもはありません。我々は自分たちのテリトリー少しづつ追及しているところです。

・インタビューのまとめ

VR動画制作はまだ黎明期にあり、数年後何が起こるかについては誰も予想できない。しかし、ユーザーを取り囲む空間で展開される物語を作り上げるのにエキサイティングな時代になったといえる。

様々なことが試され、そこから我々はコンテンツクリエイターの立場から、コンテンツをユーザーのコンテキストにどう合わせるのか、そしてどの様に彼らをコンテンツに引き込むかを学ぶことが出来るのだろう。ユーザーにとってもっともしっくりくるエクスペリエンスとはどのようなものだろう?体験型のものだろうか、それともインタラクティブなものだろうか?ユーザーはコンテンツに感情的なつながりを覚えるのだろうか?

視聴者優先の動画制作とユーザー優先のデザインに共通点があることは驚くことではないが、私たちの日常にあるユーザー優先のデザインが与える没入感は画面に表示できるモノの域を出ない。

VRに触れる機会や実装方法が広がり、人とのつながりを求めるユーザーが存在すれば、そこは従来のストーリーテリングの限界を超えようとするコンテンツクリエイター達にとって素晴らしい新世界となるだろう。

ReadWrite Japan編集部
[原文]


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